2010年10月04日

「攻勢機雷戦」という選択肢はあり得ない。(その4)

『マルベリー人造港と浮体桟橋』(JSF氏)ですけど。周辺国にできないことを並べても仕方がありません。大規模な仮設港湾なんて作るのも、運ぶのも、設置するのも無理です。上陸部隊の輸送力があまりにも貧弱なので、商船を使う方法を考えたのでしょう。5つほど列挙していますけど、2〜4は無理です。1と5も能力上、現実味はない。
 日本には着上陸の危機はありません。日本の海軍力は周辺国の上陸部隊を寄せ付けません。日米同盟で考えれば、外洋での戦力は絶対的です。そもそも、なんで日本を攻めないといけないのかですね。中途半端な戦力を日本に揚げても全滅予定部隊です。日本の恨みを買うだけ。周辺国からすれば「下手に手を出すと日本人が復讐にやってくる」と思います。かつて日本は周辺国全部に暴風を吹かせた国ですからね。

 戦車教団のたわごとはともかく。今回の「周辺国!日本上陸!!」で気になったのは、周辺国は対機雷戦をどう考えているのかです。あんな少ない数でどうするのかと。『攻勢機雷戦という方法もある』で書いたのですけど、周辺国って対機雷戦の備えを全然していない。大国であっても、掃討ができそうな艦艇は極東ロシアで7隻、中国で5隻に過ぎない。

 具体的にね。被害妄想のシチュエーション。日本に攻めるというトンチンカンな話を考えても、絶望的に少ないことが分かるでしょう。日本の海空戦力をどうかいくぐるかはともかく、上陸海岸の近くで掃海する。あの程度の揚陸戦力ではまず無理だけれども、奇跡的に港湾をとって掃討する。それにしても7隻・5隻のうちどれだけ派遣できるのか。周辺国も日米側が攻勢機雷戦を仕掛けたときに備えて、掃海艇は自国港湾に張り付ける必要がある。これでは日本や日米同盟と戦争できません。

 日本侵攻のような妄想はこれまでとして。それ以前に中露って米国に攻勢機雷戦を仕掛けられたらどうするつもりなのかと。対機雷戦の主流となった掃討にしても、いきなりは出来ないみたいです。"Coastal Force"(Brassy's)によると、掃海艇であらかじめ"Route Survey"をしておかないと、機雷を見つけることが難しいらしい。機雷が落ちるまえの、航路の海底状況を把握しておかないといけないのでしょう。極東ロシアの7隻も少ないけど、さらに中国の5隻は、主要港湾の数よりも少ないのでは、どうしようもない。

 中露とも、機雷をばら撒くのは得意ですね。でも、対機雷戦には相当の無頓着です。対機雷戦も対潜戦も、一回、飢えてみないと分からないのでしょう。

(後略)

(中露は対機雷戦をどう考えているのだろうね。・隅田金属日誌)
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posted by 某S氏 at 22:30 | 京都 ☀ | Comment(64) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月22日

隅田金属日誌「ゆとりLST搭載量」

 『中国海軍の揚陸戦力』週刊オブィエクトの中国海軍の揚陸戦力は、台湾海峡を押し渡る戦力を指しているのでしょう。
 JSF氏の挙げた戦力のうち、渡洋侵攻に回せるものは

 Yuzhao × 1(LPD) 最大20kt
 Yuting?×10(LST) 最大17kt
 Yuting?×10(LST) 最大17kt
 Yukan  × 7(LST) 最大14kt ← 船団速力は10〜12ktですね。

の正味28隻でしょう。

 LSM以下については参加は難しいでしょう。荒天に弱いLSMは、外洋に出す場合には上陸船団の足かせになるからです。(参加できないわけではありませんけど)

 この28隻の搭載能力についてですが、LST×27隻の搭載能力は間引かなければならないでしょう。LST満載時の搭載能力は、港湾から港湾への輸送に限られており、ビーチングの場合には搭載量は減少します。
 米大戦型LSTの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の20%。韓国に引き渡されたアリゲータの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の30%です。
 中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合、その輸送能力は1隻あたり戦車・装甲車×5、兵員100名程度でしょう(他にも物資や弾薬を積まなければいけません)。これに崑崙山の輸送能力(戦車・装甲車×20、兵員600名)を加えたものが中国軍の渡洋侵攻戦力となります。

中国軍の渡洋侵攻能力
 戦車・装甲車 ×  140両
 兵員     × 3500名

 といったところ。

 戦車・装甲車の搭載量は、砲やトラック、対空ミサイルや工兵機材で食われてしまう。兵員も工兵や海岸作業部隊を含めなければならない。この点を考慮すると、3個大隊程度と見積もるのが妥当でしょう。(これが今回の新刊の見積)
(中国の揚陸戦力(台湾海峡限定)・隅田金属日誌)
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posted by 某S氏 at 13:00 | 京都 ☀ | Comment(5) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月01日

「攻勢機雷戦」という選択肢はあり得ない。(その3)

 やっぱり機雷戦は有効だ。

 日本とロシアが戦争になることはありえないけど。頭の体操。

 ロシア太平洋艦隊って、掃海艇×7しかいないことが判明。(手許の"Jane's Fighting Ships 2006-2007"による )
 つまり機雷戦は結構有効だということだ。
 7隻持っていても、彼らの重要港湾、ウラジオ・ペトロ・ニコラエフスク・ワニノ・ホルムスク・コルサコフに掃海艇を貼り付ける必要がある。Brassey'sの"Coastal Force"によると、予め一定期間ごとにRoute Surveyをやらないと、掃討戦に時間を要するように書いてある。リスク管理上、この6港から掃海艇は抜けないだろう。仮に、配備港から抜いたら…そこに機雷を入れられたら、その港は使用不能になるわけだ。

 そうすると、対日正面に指向できるのは、上陸前の対機雷戦(これも無理だね)には掃海艇1隻しか指向できない。さすがに感応機雷相手に、トロール船で掃海できると考える人もいないだろう。しかも、ロシアは対機雷戦の経験を持っていない。

 他の周辺国もそうだね。あの中国も5隻しかもっていない。韓国も6隻。フィリピンは0隻。("Jane's Fighting Ships 2006-2007")
 その点、台湾は分かっていて12隻持っているけれども、それでも足りないね。M1戦車よりも掃海艇を先に買ったほうがいいカモ。
(攻勢機雷戦という方法もある・隅田金属日誌)
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posted by 某S氏 at 00:58 | 京都 ☀ | Comment(15) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月31日

「攻勢機雷戦」という選択肢はあり得ない。(その2)

 炎上中なもので、コメントに怒りのご意見が一杯来ているのだけれども。同工異曲なんでここでまとめて。

・ 民間船への被害はどうするんだ?
→ 封鎖を宣言しちゃえばおわりです。
 機雷が怖ければ出入港しなければよいのです。敵の港への輸送でしょう。戦争遂行努力ですよ。それでも頑張るのならば「あとはご自由に」ということです。


・ 日本の法律上、敵国領域に機雷を敷設することが許されるのか?
→ 問題になれば、12マイル離隔すれば良いのです。そこは領海ではないでしょう。
 まず、戦争ですから"Necessitas vincit legem; legum vincula irridet"でしょうけどね。

・ P−3C用の機雷を輸送機で落とせるか?
 → 敷設できますね。機雷って搭載するビークルを選ばないのがよいです。
 手許の"Mine Against Japan"でも、航空機雷のビークルは問われていませんね。太平洋域の米軍だからB−29とPBYを使っているけど、英空軍や豪空軍も参加しているし、ヨーロッパじゃB−17なんかも参加している。当時は航空機雷は大きかったけれども、今は小さいから小型機でも積める。有名なストーン・フィッシュ(英)は、「航空機でも艦船でも潜水艦からでも敷設できるとはっきり書いてますね。("The Naval Institute Guide to World Weapons Systems"による)


・ 潜水艦がそんな危険なところに行けるか?
→ そのとき日本の潜水艦がどういう使い方をされるかは全くわかりませんけど。頭の体操としてね。
 周辺国の対潜戦の能力は、ぶっちゃけ低いから大丈夫でしょう。魚雷やASMとは違って「フネが沈んだ近くに潜水艦がいる」と悟られませんし。これをやれば相手に港湾防備を強要することができる。掃海部隊に加えて、周辺国の数少ない哨戒機やヘリ、水上艦を拘束できますね。船団護衛がますます薄くなる…船団攻撃がやりやすくなりますね。
(攻勢機雷戦という方法もある・隅田金属日誌)
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posted by 某S氏 at 00:40 | 京都 ☁ | Comment(96) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「攻勢機雷戦」という選択肢はあり得ない。

 ありえない話と断るが、日本が攻められた時の空想である。
 今までのところ、日本が侵攻されたときには、ASM・SSM、スキップボミングや水上砲戦、魚雷といってもので相手の艦隊/船団/輸送船を叩くことになっているのだが。じつは、そこに機雷が入るのかもしれないという話だ。

 機雷の威力は実に強力である。前にも引き合いの出しが、昭和17年末、米潜水艦は日本の航路収束部に90個の機雷を敷設。それにより9隻の戦果を上げている。("The Offensive Mine Laying Campaign Against Japan"による)

石廊崎    ×19個 沈没×1(計8000t)、損傷×1(計2000t)
豊後水道   ×24個 効果なし
伊良湖水道 ×24個               損傷×2(1隻は4200t)
紀伊水道   ×24個 沈没×2(計5000t)、損傷×3(2隻で3400t)

 このうち、石廊崎の沈没1隻は、敷設した米潜トリガーの見ている前で触雷した。機雷の有効性を物語るエピソードである。

 さらに、機雷はフネを沈めるだけではなく、該当航路の通行を阻害し、掃海・掃討の対機雷戦の所要を発生させる効果も見込むことができる。
 ありえないのだけれども、日本が攻められたとき、相手側の根拠地港湾に…領水・領海が問題というのならば12マイル離れた航路収束部に…機雷をしかけると、モウ侵攻どころではなくなってしまうだろう。周辺国の中で、まともな対機雷戦能力を、掃海・掃討能力をもっているのは、日本だけだ※。日本に攻めてきた国に対して、その根拠地に機雷をしかければ、日本侵攻はお手上げになるだろう。

 海自が航空機から落とせる機雷や、潜水艦から発射できる機雷を持っているかは知らない。
 ただ、持っていなかったとしても、英米伊瑞あたりからいくらでも買えるだろう。使い方も落とすだけだから、航空機は輸送機でも哨戒機でも戦闘機でも練習機でもOKだろう。相手の航空優勢であっても潜水艦なら進入は容易だろう。各国の機雷の中に、直径が533mmのタイプがあるが、それは潜水艦から敷設できるタイプなのだろう。
 おそらく、攻勢機雷戦は、ASM・SSM、スキップボミングや水上砲戦、魚雷のうち、ASM・SSM並に威力を発揮するだろう。

  日米は海を支配する能力を持つ。自分が海を使うことも、相手に海を使わせないことも自在である。その、相手に使わせない方法の一つとして機雷があるということだ。

「海はつながっている、日本は海から自由に侵攻される」と勘違いすることもあるだろう。だが、それは日米の圧倒的な海軍力を無視した故の誤りである。日米と周辺国との海軍力の能力。その差の把握には、妙な換算式は不要だ。ただ、駆逐艦以上の水上艦、固定翼哨戒機、艦載ヘリ、AEW/AWACS、空中給油機の数を合計し、比較すればよい。その結果を見れば、海は防壁であり、敵は通路として使えないことを知るだろう。

※ 世界一は、おそらく英、次いで蘭独。

(後略)

(攻勢機雷戦という方法もある・隅田金属日誌)
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posted by 某S氏 at 00:15 | 京都 ☀ | Comment(42) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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