2010年09月22日

隅田金属日誌「ゆとりLST搭載量」

 『中国海軍の揚陸戦力』週刊オブィエクトの中国海軍の揚陸戦力は、台湾海峡を押し渡る戦力を指しているのでしょう。
 JSF氏の挙げた戦力のうち、渡洋侵攻に回せるものは

 Yuzhao × 1(LPD) 最大20kt
 Yuting?×10(LST) 最大17kt
 Yuting?×10(LST) 最大17kt
 Yukan  × 7(LST) 最大14kt ← 船団速力は10〜12ktですね。

の正味28隻でしょう。

 LSM以下については参加は難しいでしょう。荒天に弱いLSMは、外洋に出す場合には上陸船団の足かせになるからです。(参加できないわけではありませんけど)

 この28隻の搭載能力についてですが、LST×27隻の搭載能力は間引かなければならないでしょう。LST満載時の搭載能力は、港湾から港湾への輸送に限られており、ビーチングの場合には搭載量は減少します。
 米大戦型LSTの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の20%。韓国に引き渡されたアリゲータの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の30%です。
 中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合、その輸送能力は1隻あたり戦車・装甲車×5、兵員100名程度でしょう(他にも物資や弾薬を積まなければいけません)。これに崑崙山の輸送能力(戦車・装甲車×20、兵員600名)を加えたものが中国軍の渡洋侵攻戦力となります。

中国軍の渡洋侵攻能力
 戦車・装甲車 ×  140両
 兵員     × 3500名

 といったところ。

 戦車・装甲車の搭載量は、砲やトラック、対空ミサイルや工兵機材で食われてしまう。兵員も工兵や海岸作業部隊を含めなければならない。この点を考慮すると、3個大隊程度と見積もるのが妥当でしょう。(これが今回の新刊の見積)
(中国の揚陸戦力(台湾海峡限定)・隅田金属日誌)
■さて、前回から時間が空きましたが今回のお題は「ビーチング搭載量1/4=車両搭載数1/4説」です。

この記事は2010/09/03のものですが、文谷氏は最初はこの様に想定していました。
>一応、周辺国の同時輸送能力を全部を挙げてみると…(不公平にならないように全部挙げた)
>ロシア:戦車1個大隊+狙撃兵1個大隊程度
>   (揚陸艦はバルト海・黒海・北海に分散配置、海軍歩兵は港湾/沿岸守備戦力)
>中 国:戦車1個連隊+歩兵1個旅団程度
>   (揚陸艦は台湾正面に貼りつけだろうし、航続距離が短い)
>台 湾:歩兵1個旅団程度
>   (陸戦隊の機甲戦力は水陸両用戦闘車だけ)
>韓 国:戦車1個大隊+歩兵1個旅団程度
>   (海兵隊は黄海沿岸での活動を想定)
>北朝鮮:揚陸艦の運用は重資材の沿岸輸送用が限界、上陸戦はできないだろう
■中国を見てみると「戦車1個連隊+歩兵1個旅団程度」としています。
しかし一ヶ月後には
>中国軍の渡洋侵攻能力
> 戦車・装甲車 ×  140両
> 兵員     × 3500名

> といったところ。

> 戦車・装甲車の搭載量は、砲やトラック、対空ミサイルや工兵機材で食われてしまう。兵員も工兵や海岸作業部隊を含めなければならない。この点を考慮すると、3個大隊程度と見積もるのが妥当でしょう。(これが今回の新刊の見積)
■帝国海軍の図上演習もびっくりの下方修正です。

この下方修正の根拠とされているのが文谷氏の主張する「ビーチング搭載量1/4=車両搭載数1/4説」です。
結局、そこが圧倒的に…さん(2010.08.24 05:11)
もんたに
>・ ロシアの場合、太平洋艦隊には揚陸艦が4隻しかない
>・ スペック的な最大搭載量を積んでビーチングはできない
>・ ビーチングでのその輸送量を勘案すると、
>  甘く見て自動車化狙撃兵大隊×1+α。
>  厳しく見たときには、戦車中隊×1+徒歩歩兵

> このように判断しています
■と以前はこう言い、今回の記事では
>この28隻の搭載能力についてですが、LST×27隻の搭載能力は間引かなければならないでしょう。LST満載時の搭載能力は、港湾から港湾への輸送に限られており、ビーチングの場合には搭載量は減少します。
>米大戦型LSTの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の20%。韓国に引き渡されたアリゲータの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の30%です。
>中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合、その輸送能力は1隻あたり戦車・装甲車×5、兵員100名程度でしょう(他にも物資や弾薬を積まなければいけません)。これに崑崙山の輸送能力(戦車・装甲車×20、兵員600名)を加えたものが中国軍の渡洋侵攻戦力となります。
■と、中国海軍のLSTは公表されている最大搭載量の20%しか搭載してビーチングできず、一部の小型揚陸艦が参加したとしても50%の搭載量しか積めないから、LST一隻あたりの搭載量は「戦車・装甲車×5、兵員100名程度」と算出されているわけです。

しかし、これは明らかな間違いです。
以前も紹介したように、この書き込みを見たときにこういう疑問が浮かびました。

「じゃ、カタログスペックってなに?」

ビーチング型揚陸艦の主任務はビーチングしての揚陸であり、その搭載量が港湾間の搭載量であればカタログスペックにはなんの意味もない事になってしまいます。

色々調べていると、中国海軍の「072型戦車揚陸艦(ユカン型/玉坎型)」についてこういう記述がありました。
>揚陸作戦での搭載量は500t。1個戦車中隊(59式戦車11両、指揮車+装甲回収車各1両、乗員60名)、もしくは小型揚陸艇2隻と完全武装の歩兵1個中隊(150名)、あるいは歩兵一個大隊(800名)と105mm無反動砲搭四輪駆動車11〜12両の搭載が可能。072型の貨物面積は750平方メートルあり、物資輸送用に使用する際には2,000tの積載能力がある。
(072型戦車揚陸艦(ユカン型/玉坎型) - 日本周辺国の軍事兵器)
■つまり、ビーチングをしない場合だと2000tの搭載力があるがビーチング時は500tに制限されるというものです。
文谷氏の言う「スペック的な最大搭載量を積んでビーチングはできない」と言うのは、物資2,000tを積んでビーチングできないと言う事であり、ビーチング搭載量の500t以内であれば「1個戦車中隊(59式戦車11両、指揮車+装甲回収車各1両、乗員60名)」が搭載可能というのが事実です。

文谷氏はどうも「スペック的な最大搭載量を積んでビーチングはできない」と言うのを「スペック的な車両搭載量を積んでビーチングできない」と勘違いしている節がありますが、記載されている59式戦車の重量はタイプによって異なりますが大体36〜7tですので「37t×13両=481t」でビーチング制限の500t以内に収まります。

つまり、文谷氏の主張する「ビーチング搭載量が2000tから500tに1/4になるのだから車両搭載数も1/4になる」と言うのは明らかな資料の読み違いという事になります。

まとめるとこういうことになります。

数字のはっきりしている072型戦車揚陸艦(ユカン型/玉坎型)で説明すると
1.物資輸送だけなら2,000tの積載能力がある。
2.しかし、ビーチングする際には喫水を浅くする必要があるので揚陸作戦での搭載量は500tでしかない。
3.つまり、ビーチング時の搭載量は最大搭載量の1/4(25%)である。
4.しかし、その1/4になった500tの搭載量で
 ・1個戦車中隊(59式戦車11両、指揮車+装甲回収車各1両、乗員60名)
 ・小型揚陸艇2隻と完全武装の歩兵1個中隊(150名)
 ・歩兵一個大隊(800名)と105mm無反動砲搭四輪駆動車11〜12両
のどれかの搭載が可能である。
5.と言う事は「物資の搭載量が1/4になるからと言って車両・人員の搭載量が公表されている搭載数から1/4になる」という説は間違い。
posted by 某S氏 at 13:00 | 京都 ☀ | Comment(5) | TrackBack(0) | 隅田金属日誌関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. でも中国が日本に攻めるのは無理ゲー。
    隅田の主張は否定できないのであった。
  2. Posted by 名無し陸自神道信者 at 2010年09月30日 18:00
  3. >隅田の主張は否定できないのであった。

    は?
    隅金の主張は「中国軍の両用戦能力は極端に低いので74式でも大丈夫」って事。

    その両用戦能力が低い、隅金曰く「中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合」ってのが明らかな誤認に基づく判断だからそれが否定されてるわけでしょ。
  4. Posted by 名無し陸自神道信者 at 2010年09月30日 22:19
  5. 都合の悪いコメントは消すのですねw

    墨田のこと笑えないよ



  6. Posted by 名無し陸自神道信者 at 2010年10月02日 12:50
  7. >>3

    童貞だなんだって書き込みか?
    スパムなら消されて当然だろ。

    自由に書き込めるだけまだマシじゃん・・・。
  8. Posted by 名無し陸自神道信者 at 2010年10月02日 13:23
  9. 結局スミキンが正しかったな
    JSFの仲間はみんな信用ガタ落ちしたわ
  10. Posted by 名無し陸自神道信者 at 2013年11月14日 12:35
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